溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


「私も全然仕事がなくて食べられない時期があってさ、アメリカ時代のよしみで居候させてもらってたの。でも、そのうち仕事が軌道に乗って、その必要がなくなって……犬にデレデレする蓮人も見飽きたし、メモ一枚残して出て行ったってわけ」


そうか……居候。だから、“飼われる”って表現をしてたんだ。本名が七瀬クロエさんなのだから、メモに残した名前がクロエなのも納得だ。


「そうだったんですね」


あのメモを見つけたときは、見てはいけない蓮人のプライベートを覗いてしまった気がして後ろめたさもあったし、嫉妬心もあった。だから本人にはずっと聞けずにいたけど、本当のことが分かってホッとした。

この際だから、気になることは全部聞いて、スッキリしちゃおうかな。


「じゃぁ、犬のクロエちゃんは今どなたが飼ってるんですか? なんか、蓮人は“自分から家出した”みたいなこと言ってたんですけど」


私の問いに反応したのは、ハンドルを握るマイケルさんだった。


「ああ、それワタシです。蓮人の仕事が忙しくなってなかなか世話ができなくなった時に、クロエ私のところに来ました。みんなシゴト忙しいけど、ワタシまだ売れない芸人なので犬の世話十分にできるから。レントは最後まで嫌がってましたけど、クロエ意外とワタシに懐いたのでショックだったみたいです」

「な、なるほど……」

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