溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
もともとは蓮人が飼っていたなら、コンシェルジュの男性に世話をしてもらうこともあっただろう。だから、さっきすんなり懐いていたのか。
もしかして、私の前で尻尾を振っていたのも、一日一緒にいた蓮人の香りに反応していたのかもしれないな。
……それにしても、蓮人ってばよっぽど溺愛していたんだなぁ、クロエちゃんのこと。
ひとつひとつの疑問に答えが出て行くと、心のもやもやも晴れてきた。
三人のおかげで私の知らなかった蓮人の意外な表情もわかって、ますます彼に会いたい気持ちが募る。
でも、飛行機の時間まであとどれくらいなんだろう。間に合わなかったらどうしよう。たとえ会えたとしても、冷たくあしらわれたらどうしよう……。
会いたい気持ちと裏腹に急に心細くなって、窓の外の暗い街並みに視線を向けながら膝の上でぎゅっとこぶしを握る。そんな私を、明神さんが隣から励ましてくれる。
「大丈夫や。アイツなぁ、稀華ちゃんのこと心配やって、俺に電話寄こしてきたんや。かなりの高確率で元彼とヨリ戻ったとは思うけど、万が一そうでなかったらマンション戻るかもしれんから、様子見てきてくれって」
「蓮人が、そんなことを……?」