溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
目をぱちくりさせる私に、明神さんは“世話が焼ける”とでも言いたげな調子で続ける。
「俺は“自分で行け”言うたんやけど、“元彼との約束もあるし、稀華の気持ちがわからない以上、俺からは……”とか遠慮してしまってんねん。だから、こりゃ稀華ちゃんのほうけしかけたほうが得策や思ってな」
「じゃあ、私の気持ちがわかれば……」
蓮人も、応えてくれるの……?
微かな期待を抱いた私の心の声が聞こえたかのように、明神さんは微笑みながら頷いてくれた。
ホテルの部屋で蓮人に別れを告げられた時、すごく突き放された気がしていた。
だけど、明神さんの話を聞く限り、私のことがどうでもよくなったわけじゃないって、思っていいのかな。
「アイツ、不器用やけどめっちゃ優しいヤツやねん。今回もかなりわかりにくい回り道してるみたいやけど、それも優しさからやって、わかってやって?」
呆れた顔をしながらも、仲間としての信頼を滲ませながら、明神さんが言う。
「うんうん。ホント、優しすぎるからこそこんな状況になってるわけだけど、あなたの気持ちさえわかれば大丈夫。一生大切にしてくれるよ」
「みんなの言う通りです。マレカさん、グッドラック!」
ナナセさんとマイケルさんにも頼もしい声援をもらって、胸に熱いものがこみ上げる。