溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「ありがとうございます……」
「ほら、もう着くで。降りる準備しい……って、よう見たらどんだけ寒そうなカッコやねん!」
薄っぺらいドレス姿の私に鋭い突っ込みを入れる明神さんだけど、すぐに自分の着ていた真っ赤なブルゾンを脱いで私の肩に羽織らせてくれた。
「この色なら見つけてもらうのにも便利やしな」
「ふふ、ホントですね。ありがとうございます」
蓮人もそうだけど、さすが友達同士なだけあって、明神さんも本当に面倒見が良くて優しい人だ。そんなことを噛み締めながら、ありがたくその派手な上着に袖を通した。
空港に着くと、国際線ターミナルから一番近い駐車場に車を停めてもらい、三人に別れを告げた。
明神さんに教えられた、蓮人の乗るらしい飛行機の便名を頼りに、建物の三階にある出発ロビーをきょろきょろと歩く。
夜遅い時間だからか人の数はさほど多くなく、私は思ったより簡単に彼の姿を見つけた。
疲れたようにベンチにもたれる彼は、パソコンらしきものをバッグにしまっている最中で、私の姿には全く気付いていない。
私は一度大きく深呼吸をして、空港に着く直前に明神さんたちに教えられたことを思い出す。