溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
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そうして、空港のロビーでようやく向き合うことのできた、愛しい相手。
私に向かって両手を広げる彼の目にも、もう迷いはないように見える。
「おいで」
掛けられた言葉はそれだけなのに、私を受け入れてくれたんだということが伝わってきて、思わず視界が涙でぼやけた。
私の足は自然と彼に向かっていき、脇目もふらずに広い胸に飛び込む。
背中に回された腕は私の背中を痛いくらいの力で抱きしめてくれ、その確かな感触が嬉しくて、ますます泣けてしまった。
「蓮、人……黙って、いなく、ならない、で……っ」
ほとんど泣き声のような、とぎれとぎれの声でお願いする。蓮人は私を抱きしめたまま、確かな声でこう告げた。
「……ああ。もう、逃げるのはやめる」
私を抱きとめる腕の力がふっと緩んで、少し身をかがめた彼に至近距離で見つめられる。
そして、濡れた頬に大きな手が添えられたかと思うと、愛情に満ちた眼差しが、私を包み込んで。
「好きだ」
力強く、情熱にあふれた言葉が、私の心にまっすぐ飛び込んできて……今まで伝えられなかった自分自身の想いも、堰を切ったように溢れ出した。
「私も、好き……蓮人が、好きだよ」
泣き声に混じらせてようやく告げると、蓮人はたまらなくなったように私の顔を両手で引き寄せ、熱い口づけを交わした。お互いの想いを確かめ合うように、何度も何度も、角度を繰り返して。
そのうち、ふっと笑った彼の吐息が顔にかかり、閉じていたまぶたを開くと、蓮人が苦笑していた。