溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
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月日は流れて、翌年の六月下旬。梅雨の晴れ間が広がった日に、蓮人は半年間の海外出張を終えて帰国した。
その日はたまたま土曜日だったため、空港まで迎えに行き再会の喜びに浸り、それから一緒にランチをとって、デートがてらふたりで街をぶらぶらと歩いた。
「ねえ、本屋さんに寄ってもいい?」
それは蓮人が帰ってきたら、絶対に行きたかった場所の一つで、私は目を輝かせながら彼にお願いする。
「……言うと思った。もう俺がいない間に何度も見たんじゃないのか?」
「そうだけど、蓮人と一緒に感動を分かち合いたいの!」
「はいはい」
蓮人はあまり乗り気じゃなさそうだけど、私は構わず彼の手を引っ張って、近くにあった大型書店へ意気揚々と乗り込んだ。
そこは五階建てのビルで、一階には飲食店とCDショップ、そして二階から上はすべて書籍売り場という品ぞろえ充実の書店。
エレベーターを探して一階を通り過ぎている途中、蓮人がふと足を止めて店内のモニターに注目した。
「こんな短期間でセカンドシングルだとよ。頑張ってるなアイツも」
「ホントだ。デビュー曲だけですごく人気出たもんね」