溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「彼はいつかビッグになるって、約束してくれていますから!」
「いつか……って、具体的にいつだ?」
「そ、それは……っ」
ぐむむ、と言葉に詰まる。
彼と彼の所属するバンドのメンバー、そしてメンバーの彼女である私と美鈴さんとで青森からはるばる上京してきて、今年で五年。
一年目にメジャーデビューできるかも、という話があったきり、その後なんの進展もない。
だから、その“いつか”を待つのが、たまに歯がゆくなることもあるのは否定しないけど……。
「未来のことは誰にもわかりませんから! もう他人の夢に口出ししないでください!」
噛みつく勢いで言い返したけれど、男はやれやれという風にため息をついて冷たく突っぱねる。
「断る。最初に口出ししてきたのはお前だ」
「は?」
私が口出し? いったい何を言っているのかさっぱりなんだけど……。
「責任とれよ」
ぶっきらぼうな言葉とともに、私の身体がひょいと宙に浮いた。
「ちょっ! 何するの! 下ろして!」
荷物のように肩に抱えられ、じたばたと暴れるけれど、男はびくともしない。
な、なんでこんなことに!? この男、何者なのよ~!