溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「お前はあまり覚えてないみたいだけど……初めて会った夜、お前は俺を焚きつけた。お前のせいで、一度は諦めかけてたものに、また取り掛からなきゃならなくなった。だから、お前は俺のそばにいて、その責任を取れってわけだ」
「……意味が全っ然わかりません」
何だか知らないけど、人のせいにしないでよね。
恨めし気に甲斐を睨んでみたけど、軽く笑ってあしらわれた。
「いいんだよ、お前はわからなくて。ただ……。ちょっと、こっち来い」
話の途中で甲斐に手招きされ、近くまで行くと人差し指で自分の目の前の床をさした彼。
「ここに、膝つけ」
「な、なんで……」
「いいから」
命令口調にムッとしたけど、どうせ言う通りにしないと怒られる。
私は毛足の長い絨毯の上に膝をついて、ソファに座ったままの彼に不機嫌な視線を向ける。
自分は悠々ソファに座ってるくせに、か弱い女子を床にひざまずかせるとはなんて横暴な男なの。
そんな不満を胸の内で呟いていると、今まで背もたれに寄りかかっていた甲斐が、突然こちらに手を伸ばし、ぐいっと私の腕を引き寄せた。
「きゃ、何……っ!?」
小さく悲鳴を上げたその一瞬で、私は甲斐の逞しい体にすっぽり抱きしめられてしまった。