溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


正体不明のソイツは周囲で呆気にとられている先輩ホステスたちに向けて、さらに信じられない発言をした。


「こいつ、俺が飼うことにするから悪いけど今日で店辞める」


か、飼うって何? 私は犬でも猫でもない! しかも勝手に店辞める宣言しないでよ!

私、まだ目標金額まで稼げてないんだから……!


「ねえ! 勝手なことばかり言わないでっ!」

「うるさいぞペットのくせに。ステイ、ステイ」

「ひとを動物扱いするなーっ!」


担がれたまま喚いていると、彼と一緒に来ていたスーツ姿の男性たちが慌てて駆け寄ってくる。


「甲斐(かい)副社長! そ、その女性は?」


副社長? このムカつく男が? じゃあ、御曹司ってもしかしてコイツのこと……?


「ああ、今日のところはコレ連れて帰る。悪いけど仕事の話はまたにしてくれ。正直、俺はこういう店は好きじゃない。次は静かに酒が飲める場所を頼む」

「そ、そうでしたか……まことに申し訳ありません!」

「いや、こちらこそ我儘で申し訳ない。今日の支払いはコレを引き取る料金もあるし俺が個人的に済ませておく」

「は、ははっ!」


九十度にお辞儀した男性たちのもとを離れると、甲斐という男は近くにいた男性従業員にクレジットカードを手渡す。

あ、あの輝き……! 一部の大富豪しか持ってないといわれる伝説のカードじゃない!?

やっぱり、本物の御曹司なんだな……。って、納得している場合じゃない!




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