溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


頭は甲斐の肩辺りに押し付けられ、後頭部と背中を大きな手のひらに抑えられているから、逃げようにも逃げられない。

お腹から下も、彼の長い脚の間にちょうど収まってしまって、まるで檻の中に閉じ込められてしまったみたい。

こんなの、ドキドキするなという方が無理だよ……。


「あ、あの」


どんどん顔に熱が集中してくるのを感じて戸惑った声を漏らすと、耳のそばにある甲斐の唇が、吐息交じりのかすれた声でささやく。


「時々こうして俺を、癒してくれればいい。それが、ペットであるお前の役割だ。……どうだ、できそうか?」

「い、癒、し……?」


ばくばくうるさい心臓をなだめながら聞き返す。

甲斐は少しだけ身体を離した代わりに至近距離に顔を近づけて、「そうだ」とひとこと告げた。

……ち、近いって! こっちは癒しどころか、心臓が止まって死んじゃう!

しかしこれ、「できそう」って答えたら、毎日こんなことされるの?

それが部屋に置いてもらう条件ってこと?


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