溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
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腹ごしらえが済んだあと、私は先にお風呂に入らせてもらうことになった。
「はう……なにこれ。気持ちいい」
足をめいっぱい伸ばしてもまだ余裕のある広いバスタブはジャグジー付き。
うっかり寝てしまいそうなほどの心地よさで、疲れた私の筋肉をほぐしてくれる。
ここは天国か!と叫びたいのを我慢してお風呂を上がると、天国にふさわしいふわっふわのバスローブが用意されていて、コンビニで調達した下着の上からうきうきそれを身に着けた。
「あのー、上がりました」
“上がったら声を掛けろ”と言われていたので、その通りに書斎をのぞく。
すると、パソコンで作業中だった甲斐が手を止めて視線を上げた。
「ああ。……じゃあ、俺も入ってくるから、先に寝てろ」
「え。でも……」
ここまで色々してもらったうえ、先に寝ているなんて何だか悪い気がしてしまう。
だからって、“待ってます”なんて言うのは気恥ずかしいし、うまい言葉が出てこないけど。
書斎の入り口でもじもじする私に、作業をやめた甲斐が立ち上がって近づいてくる。
そうして目の前まで来ると、彼の手が半乾きの私の髪をそっと梳くように撫でた。
ドキッと過剰に反応した胸に、私は何度も言い聞かせる。
ど、動揺するな……! 私は今ペットなんだから、これはきっと、動物の毛並みを整えているような感覚に違いない。