溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「私は、ペット……だから?」
控えめに尋ねた私に、甲斐が意地悪な笑みで返す。
「……不服か?」
「べっ。別に!」
「なら家のことなんて気にしなくていいから、早く寝ろ」
ぶっきらぼうな声とともに、今まで私の体の上にいた甲斐が、すぐ横に寝ころぶ。
そして足元にあった布団をバサッと二人の体の上に掛けると、自分の肘で頭を支えながら私の方を向いた。
うう、こんな至近距離で、あんまり見ないで~!
私は天井に顔を向けたまま緊張で全身を硬直させた。
ええい、こうなったら早く寝てしまうに限る……!
ぎゅっと目を閉じ、羊の数でも数えようとした瞬間、その必要もなさそうなほどの睡魔に襲われ、意識が遠くなっていくのを感じた。
今日は、疲れたもんな……。無事に眠れそうでよかった。
「……おやすみ。稀華」
完全に意識を手放す前、耳元で囁かれた低い声にまたドキドキしたけれど、嫌ではなかった。
そして、理一はそんな当然の挨拶さえしてくれていなかったような気がするな……と、少し切なくなりながら、私は眠りについた。