溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「な……なにもない」
冷蔵庫にはミネラルウォーターやお酒の類しかないし、棚の中も調味料やコーヒーの粉くらいしかない。
男のひとり暮らしってそんなものなのかな?
少々がっかりしながらリビングに戻ると、廊下側から扉が開き、まだ眠そうな目をした甲斐が現れた。
その姿は、さっき寝ていたときとまったく同じ……つまり、上半身は裸のままで。
「……早いな。あまりよく寝れなかったか?」
「い、いや別に! なんとなく目が覚めちゃっただけで!」
咄嗟に回れ右をして答えたけど、背後からひたひた近づいてくる素足の足音がして、緊張が高まる。
やばい、こっち来る……。とにかくまずは服を着て! 裸のまま視界に入らないで~!
胸の内で必死に訴えるも、甲斐は視界に入るどころか……。
「俺も……お前がいなくなったから自然と目が覚めちまったらしい。やっぱり、お前をペットに選んで正解だったよ。……この抱き心地、最高だ」
後ろから肩を覆うように回された二本の腕、背中に触れる体温。
だ、だ、抱きしめられてる!?
……何度も言うようだけど、彼の上半身は裸である。私だってバスローブ一枚のままだから、ほぼダイレクトに伝わってくる彼のぬくもりに動揺して、じたばたしてしまう。