溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「ちょっ! あのっ……!」
「じっとしてろ。お前の役目は俺を癒すことだと言ったろ?」
そ、そういえば昨夜そんなことを言われたような。でも、じっとしてたって、胸のドキドキだけはおさまんないよ……っ。
そんな思いを悟られぬよう、とりあえず表面上は彼の腕の中で大人しくしてみる。
すると、ふっと笑った甲斐の吐息が耳にかかった。
「……いい子だ」
寝起きで少しかすれた声がなんだか妙ににセクシーで、いちいち胸をかき乱されてしまう。いったいなんなんだろう、これ……。
絶対顔が赤くなってるから、とりあえず顔を見られない体勢でよかったけど……。
抱きしめられたまま、二分くらい時間が経過しただろうか。
もうこれ以上は心臓が持ちません!という限界に近づいたころ、家のチャイムと思われる音が静かな部屋に鳴り響いた。
ふっと甲斐の熱が背中から離れていき、私はその場にへたり込んんで胸に手を当て、呼吸を整える。
や、やっと解放された……。
ホッとしながら甲斐の姿を目で追うと、彼はキッチン脇に取り付けられたモニターを操作して、そこに何か映した。