溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


わがまま……それって、けっこう苦手分野かもしれない。

でも、甲斐はそんな私を変えようとしてくれてるんだよね、きっと。……私自身、今の自分のままじゃダメだって思うし。


「うん……やってみる」


神妙に頷いた私に、甲斐は満足げな笑みを向けてくれた。


朝食を済ませたあと、甲斐の選んだスモーキーピンクのワンピースに着替えた。

リビングの片隅に置かれていた全身鏡に自分の姿を映すけど、服が素敵すぎて私には似合っていないような気がした。

いちおうメイクもしたけれど、家から持ってきた最低限の化粧品で施したナチュラルメイクでは、服の華やかさに完全に負けている。

セミロングの髪だってちょっとはブローしたけど、毛先が乾燥気味でもっさり広がっている。

……結局、元が大したことないってことなんだろうな。


「支度できたか?」


リビングに入ってきた甲斐が、こちらに歩み寄りながら私の全身を上から下まで眺める。

彼も部屋着姿から外出用の私服に変わっていて、白いシャツに細身のジーンズ、シンプルな紺のジャケットを羽織った、綺麗めカジュアルな装い。

モデルのように背が高いし俳優みたいな整った顔立ちだから、何を着ててもサマになってて悔しい。

こんな人の隣を歩いたら、もともと冴えない私がさらに引き立て役になってしまいそう。


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