溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


ニコニコと話を続ける店長さんだけど、私の胸には違和感が生まれていた。

だって、その“ペット”って、たぶん私のことではない。

昨夜は確かに同じベッドで寝たけど、帰宅した甲斐に飛びついた覚えも、喜んでキスした覚えもない。

それに、甲斐がその話をここに来るたびにしていたってことは、私と出会うよりずっと前から“ペット”はいたわけで……。

じゃあその“ペット”さんは、今どこに?

私のことをすんなり飼うと決めた甲斐のことだ、前にも人間の女性を飼ったことがあってもおかしくはない。あまり、いい趣味ではないと思うけど。

今は彼のマンションにそんな女性の影はないから、関係は終わってしまったということだろうか。


「では、シャンプー台の方に移動お願いします」


私はシャンプー台で頭を泡立てられている間もずっとそんなことばかり考えていて、気持ちが落ち着かなかった。

だけど、新しいペットに、前のペットのことを詮索する権利もないだろうし……聞いても“お前は知らなくていい”とか軽くあしらわれて終わりそうだし。……ああ、モヤモヤする。

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