溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
店長さんに見送られてサロンをあとにした私たちは、近くのカフェで軽いランチを取ってから、車を取りにパーキングに戻った。
このあと甲斐は、どうしても行きたい場所があるらしい。
「どれくらいで着くの?」
「少しかかる。ここからだとだいたい四十分弱だな」
「ふうん……そこに何があるの?」
ナビを操作する甲斐の手元を見る限り、都心から離れて西の方に行くみたいだ。
「着いてからのお楽しみだ」
甲斐は期待を持たせるようにそう言って、車を発進させた。
車が走り出してからしばらくはお互いに無言だった。
それが少し気まずくて、何か話のネタはないかなとあれこれ考えてみる。
だけど、つい頭に思い浮かんでしまうのは、やっぱり甲斐が前に溺愛していたというペットの話題。
いつまでも胸に引っかかって気持ち悪いし、嫌な顔されるの承知で聞いてみようかな……。
「ねえ」
「ん?」
「前のペットさんのこと……聞いてもいい?」