溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


店長さんに見送られてサロンをあとにした私たちは、近くのカフェで軽いランチを取ってから、車を取りにパーキングに戻った。

このあと甲斐は、どうしても行きたい場所があるらしい。


「どれくらいで着くの?」

「少しかかる。ここからだとだいたい四十分弱だな」

「ふうん……そこに何があるの?」


ナビを操作する甲斐の手元を見る限り、都心から離れて西の方に行くみたいだ。


「着いてからのお楽しみだ」


甲斐は期待を持たせるようにそう言って、車を発進させた。


車が走り出してからしばらくはお互いに無言だった。

それが少し気まずくて、何か話のネタはないかなとあれこれ考えてみる。

だけど、つい頭に思い浮かんでしまうのは、やっぱり甲斐が前に溺愛していたというペットの話題。

いつまでも胸に引っかかって気持ち悪いし、嫌な顔されるの承知で聞いてみようかな……。


「ねえ」

「ん?」

「前のペットさんのこと……聞いてもいい?」


< 77 / 231 >

この作品をシェア

pagetop