溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「俺が手掛けた都市開発事業でできた街だ。といってもまだ未完成だが」
「そうなんだ……すごい。素敵な街だね」
街ひとつ作っちゃうような仕事なんて想像もつかなくて、ただ目の前の景色を眺めて感心する。少し日が傾いてきて眩しいけれど、柔らかい西日に照らされた街はとてもきれい。
「仕事の延長みたいで悪いな。でも、仕事抜きにしてゆっくり街を見たかったんだ。住人の目線になってな。せっかくだから、少し散歩するか」
「うん。ちょうど座り疲れてたんだ」
「じゃあほら。リードの代わり」
……ん? なんで、こちらに手を差し出すの?
ぽかんと間抜けな顔をする私にため息を漏らして、甲斐は短く告げる。
「お手」
「え? ……うん。こう?」
首を傾げながら重ねた手は、甲斐の大きな手にぎゅっと包み込まれた。
ま、まさか、リードの代わりって、手をつないで歩くってこと!?
「……なんだ、冷たいなお前の手」
さらには甲斐がそんなことを言いながら親指で私の手の甲をさすったりするものだから、軽いパニック状態に陥る。
リードの代わり、と言ったって、こんなのハタから見たらただの仲良しカップルだよ……!