溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


『実はさ、リーチくん、今うちに来てるの。“まれが帰ってこないんだけど知らないか”って』

「そうだったんですか……すいません、心配かけて」


美鈴さんの家は下北沢からも近い代々木上原にあり、そこに彼氏である哲(てつ)さんと一緒に住んでいる。

哲さんも何を隠そう理一と同じバンドに所属しているメンバーであるため、私も理一も親しくしてもらっていて、お宅にお邪魔したこともある。

私にとっても理一にとっても、美鈴さんと哲さんは良き姉貴分、兄貴分という感じなのだ。


『昨日のこと聞いたよ。……稀華ちゃんが帰りたくない気持ちもわかる。ってか、今まで出て行かなかったのが不思議なくらいだよ』

「美鈴さん……」


美鈴さんや哲さんは、これまでずっと私のことを心配してくれていた。

ふたりとも、理一のギターの腕や音楽的な才能は認めていたけど、プライベートに関しては別問題。

哲さんはバンド活動の傍らアルバイトをしていて、家でも美鈴さんと家事を分担しているから、何もしない理一に小言を言ったりもしていた。

……まあ、理一はそれでも全然変わらなかったわけだけど。


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