溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「……今度から、予告、して」
「予告……? キスのか?」
甲斐は目を丸くし、苦笑しながら聞き返してくる。
もう! いちいち言わせないでよ!
「こ、こっちにだって心の準備ってもんがあるんだから……」
「なるほどな。わかった。じゃあ、稀華」
な、何を改まってるの? 怪訝そうな私に構わず、今度は両手で私の頭をつかみ、がっちりホールドし始める甲斐。……って、まさか!
「あと五秒でもう一度キスする。……目、閉じとけ」
小首を傾げた美しい顔が、またしても接近してくる。
「う、うそ! 予告すればいいってものじゃ――」
「さん、にー、いち」
「……っ」
ぎゅっと目を閉じたのと同時に、唇が押し当てられた。
さっきと同じ、触れるだけのキス。予告があったし二度目ということもあり、今度はそこまで混乱することはないけれど……。
さっきは感じる余裕のなかった唇の熱や感触がよりリアルに感じられて、頭の中がかぁっと熱くなる。脳みそはだんだんと形をなくし、とろとろに溶けていく気がする。
……キスって、こんなに甘くて、何も考えられなくなっちゃうものなんだっけ。
うっすらまぶたを開けると、甲斐の方もとろけそうに甘い瞳をして私を見ていて、どくんっと鼓動が暴れたのと同時に、キスの角度を変えられた。
緩急をつけながら唇を啄んだり軽く吸ったり……終わる気配のない甘い時間に、胸が破裂しそうだ。