白い悪魔(仮)
野次馬を掻き分けながら進むと、女性が浪士に襲われていた。
この時代も 自分が巻き込まれたくないから見てるだけか......くだらないと周囲に呆れながら、女性の前に立った。
「何だ、てめぇっ!!」
僕の行動に、相手は怒りを露わに睨みつけている
全く怖くないけど。
「ねぇ、何してるの?」
「俺様に、ぶつかった代償を要求してんだよ」
更なるくだらなさに、溜め息が零れそうになる。
刀の勝負は、避けたい
「君、早く去らないと新選組が来ちゃうよ?」
軽い脅しを掛けると、舌打ちした浪士は去って行った
穏便に済んだけど 弱っ、と心の奥で毒づいていた。
日差しのせいで少し眩むのを堪えて、女性に向き直り 女性に目線を合わせるためにしゃがんだ。
「大丈夫ですか?」
「えぇ、おおきに助かりました」
少し怯えていたが、笑顔が見れたので安心した。
「何かお礼したいのですが」
見返りを要求したくはなかったが
「傘売っている店、知らない?」
このままだと、太陽に殺される…。。。
ということで、傘が売っている店に案内してもらって この時代には無いけど 日傘の代わりになりそうな傘を買った。
お金は、何故か 現代からこの時代に合わせた 円じゃなく 両になっていた。
「ありがとう、助かった。」
「いえ、こちらこそ」
互いにお礼を言い合い、別れた
何で 晴れているのに傘を差すかに疑問に思っただろうけど...彼女は何も聞かなかった
その心が僕は嬉しかった。