あたし一人


人並みのなか、一人の少女が歩いていた。



彼女の名前は、鈴。





 なんで・・・どうして涙がっ・・・。



負けないって決めたのに…。


気が付くともう、家に帰ってきていた。

また……
また始まる。





ガチャ――


「鈴!!こんな時間まで何してたの!!」


やっぱり・・・
いつものようにお母さんの声が響く。



その時だった。
閉めていたドアが開いた。

「ただいまぁ!!」
そういって入って来たのは弟の香(こう)。


「こう……だめでしょ?門限、とっくに過ぎてるわよ。今度からは気を付けなさいね。…じゃ、お母さんお風呂入って来るね〜」


ねぇ……
なんでお母さんはあたしには怖くて香には優しいの?



いつもそうだ。
お母さんは弟が一番。
お母さんはあたしが嫌いなんだ。
お父さんも帰って来る日が少ない。
多分・・・浮気だと思う。


多分お母さんは知ってる。お父さんが浮気してること……だかはあたしは八つ当たりの機械。



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