【短】キミともう一度
「あのさ、」
窓に映る彼と目が合った気がした。
ううん、完全に合った。
そして動く口も確認できた。
「うん?」
内心ドキドキさせながら、震えない声で返事をする。
「約束、覚えてる?」
「…………え?」
理解するのに少し時間がかかった。
なにを言い出すのかと思えば、『約束』って。
「ほら、4年前。谷先生の授業での課題」
キミの言う〝約束〟はもしかして……。
「『次会ったとき〝おはよう〟な』ってやつ」
……キミってば、なんでこんなに息苦しくさせるのかな。
そんな顔で私を見ないでよ。
もっと変に意識しちゃうから。