【短】キミともう一度
「──平成〇✕年度 △□期生 学位授与式を終わります」
張りのある声が私を引き寄せた。
周りは泣いてる人もいれば寝ている人、無表情でいる人がいるんだろう。
私の両脇に座ってる親友は、強い眼差しで掲げられている〝学位授与式〟を眺めていて、もう1人はコクリと首が左右に傾いてる。
フーちゃんは相変わらずだな~。
授業中も隣で寝てて、たまにビクンと足が上がったのを見ては3人して笑ったな。
ふと視線を斜めに向けた。
不覚にも胸が高鳴った。
スーツ姿のキミが寝ている。
そんなキミが隣の男子に起こされて、後頭部をかく姿にまた胸が高鳴った。