【短】キミともう一度



久しぶりにみた姿のせいでこの胸は治まるどころか悪化し続けてる。



何かで誤魔化さなきゃ、そう思った時に右にいるマーちゃんが肩を叩いてきた。




「なに、ソワソワしてんの」


「え?ソワソワ?」


「トイレ?」


「は?……なわけないじゃんっ!」



そう小声で突っ込むとクスクスと笑われた。




「もう卒業しちゃったんだねー」


「……そーだね。早かったね」




礼拝堂にはほとんど人が少なくなって、声が小さく響く。




マーちゃんと話しながら視線をずらすとまだキミもいて、この声が聞こえてると思うと恥ずかしくなった。




「のっちゃん?」


「ん?!」


「なんかさっきから変じゃない?やっぱトイレ?」


「いや、違うから!大丈夫。なんも問題ない!ちょっと卒業っての実感しちゃってただけだから」





そう誤魔化して笑うと不思議そうに見つめられ、でも何も言わずに立ち上がった。



そう、これがマーちゃんのいいところ。



本当は気になってるのかもしれない。
それでも漬け込んでこないところが私は助かってる。





「マーちゃん、ありがとう」



小さく呟いた。




それなのに「なんのこと~?」なんて笑って言うもんだから聞こえる声でもう一度ありがとうを伝えた。





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