【短】キミともう一度
「……ふたりとも、なにイチャついてんのさ」
その声に振り向くとプクーっと膨れっ面をしたフーちゃんが見上げていた。
「あ、起きてた」
「おはようフーちゃん」
「……おはよ」
そんなやり取りに自然と笑みがこぼれる。
少ししんみりさを残したまま私たちは礼拝堂を出た。
一つ後悔したのは、キミとまた目が合ったのに何一つ行動を起こせなかったこと。
また、失敗しちゃった。最後なのに。会えないのに。卒業しちゃったのに。
また、挨拶できなかった……。
さよなら、タクミくん──。
たくさん2人と写真を撮り終わった後、最後に正門からの光景をを写してシャッターを切らした。
少し笑みをこぼしたのは、その中にたまたま会場から出てきたキミの姿だった。