君と。

「あの…大丈夫ですか？」




突然、後ろから聞こえてきた声。




さっきまで耳に膜が張ったようにぼやけて聞こえた周りの声とは違い、その声ははっきりと私の耳に届いた。




振り向くとそこには






心配そうにこちらを見る同い年くらいの青年が立っていた。




ちゃんとセットされた黒い髪にスラリとした体型。




高校生っぽい制服を着ている所をみるとやっぱり歳は近そうだった。




そして切れ長の目。




その真っ黒な瞳に私は目が離せなかった。





「あの…俺の顔になにかついてますか？」




なにも言わずにじっと見つめてしまっていた私はその言葉でふと我に返った。




「あ、ごめんなさい！大丈夫ですので！」




慌てながら私がそう言うと目の前の人は小さく笑った。




「ならよかったです。
なかなか落とした小銭拾わないからなんかあったのかなって」




そう言いながら目の前の人は床に落ちている小銭を拾おうと屈んだ。




止める私を無視してあっという間に拾った小銭を私に差し出してくれた。