ボクはキミの流星群
「あれ」

コップの中には水がそのまま残っていた。

水飲むの忘れてたのかな?

とりあえず二人分のお皿を、流しに積み重ねた。

洗うのは明日でいいよね。


そして、大人しく椅子に座っていたピロを立たせて、お風呂まで誘導する。

「ゲポ」

何の音?と思い、後ろを振り返ってみると、ピロが恥ずかしそうに体を赤く染めた。

「宇宙人ってゲップするんだね」

わたしは一人でクスクス笑っていた。もちろんピロには理解できない言葉。だからわたしが独り言を言っているみたい。

ガラガラとお風呂場の引き戸を開けると、モワッとした空気が押し寄せてきた。

窓も曇っていて、壁にも水滴がたくさんついている。

わたしはチャポンと右手をお湯に浸からせ、温度を確かめてみる。

かなり温度が下がっていることから、長い間おばあちゃんを待たせてしまったことがわかった。

ピッと『おゆだき』のボタンを押して、しばらく浴槽を眺めていた。

──チャポン

その音はさっき聞いた音と同じ。ピロが手を浸からせていたのだ。

いけるかな?入れるかな?なんて少しドキドキしながら観察してみた。

すると、少しずつ指がふやけていって、グニョグニョと解け始めたのだ。

「ピロ、危ない!」

わたしは急いでその手を引っ張り、お湯から手を引っこ抜いた。

溶けていた指は元に戻り、いつも通りの指になっていた。

とにかく、ピロをお風呂には入れてはいけないということがわかった。
< 17 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop