ボクはキミの流星群
目の前には知らない天井に知らない壁、ここはわたしの知らない場所だ。

いったいどこかなんて、次にすぐわかった。

「なんで外出てたんだよ。危ないだろ」
「菊池……?なんであんたが」

ありえなかった。なぜわたしが菊池の家にいるのか。

一度も来たことないし、菊池とはそこまで深い関係ではないし。

「さっきはごめんな……前が見えなくてぶつかってしまったんだ……」

あぁ……そうか。わたしは自転車とぶつかったのか。

今思うと本当にバカなことをしたんだな。なんで家なんか飛び出したんだろう……

「なんかあったの?」

菊池はわたしのことがお見通しみたいで、心配そうに聞いてきた。

わたしの家のことなんて誰に話したって意味はない。誰も理解してくれないよ。

「おばあちゃんに腹が立って家出した」
「おばあちゃん?」

きっとダメな娘だとかそんなこと思ってるんでしょ?わたしだって思ってるよ。

「おまえ、おばあちゃんいるの?」
「どういうこと……」

わたしはその言葉の意味がわからなかった。

わたしは両親を失ってからずっとおばあちゃんに育てられてきたというのに、おばあちゃんがいるということに対しての疑問はどこから生まれるのかわからなかった。

「あんたこそ、どうして自転車走らせてたのよ」
「それはさぁ、母さんの忘れ物を会社に届けに行ってたんだよ」

いい子なんだな、とか不意に思ってしまった自分を殴りたい。

「まぁいいや。もう昼だから昼飯でも食おうぜ」

菊池はそう言ってから、部屋からリビングまでわたしを連れて行ってくれた。

とてもおしゃれな家具が並んでいて、物が散らかることなく、きちんと整頓されている綺麗な部屋だった。

「お父さんとお母さんは?」

一つ不思議に思った。家の中心のリビングに誰もいない。

そういやさっきお母さんの話してたから、誰もいないのか。

「仕事だよ。俺のとこは二人とも働いててさ……」

楽しそうに語っていた菊池の顔色が、なぜか悲しそうな顔へと変わった。

「……ごめん」
「いいよ」

両親のいないわたしを気遣ってくれたらしい。

でもなんで知ってるの?わたし人には言ってないけど……

「俺、おまえに言わなきゃいけないことがある」

まえに聞いた言葉だ。なんだか真剣な話なんだなというのは察せた。

あの時は無視してしまったけど、本当は大切なことなのだろう。
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