ボクはキミの流星群
それはとても暑い真夏日。
あまりの暑さに、人々は涼しさを求めていたという。
その願いが叶ったのか、その日の夜は大量の雨が多くの町を包み込んだ。
もちろんみんな喜んだが、それから悲劇が始まった。
「今雨降ってるよ!」
わたしは普段は雨が降ると不機嫌になるはずが、この日は大喜びだったそう。
「ほんとだ!星夜ちゃん、遊ぼうよ!」
隣に住む菊池夜斗もわたしと同じく上機嫌だ。
いつも一緒に遊んでいる二人は、その雨に恐怖など一つも感じていなかった。
レインコートを着て長靴を履いて、数分でできた水たまりの中で飛び跳ねる。小さい子がよくする遊びだ。
二人の親もそれを温かく見守り、決して止めるようなことはしなかった。
なぜなら、この時は誰も知らなかったから。
「ねぇねぇ!池の水がパンパンだよ!」
わたしは珍しい光景に思わず声をあげた。
それから、大人達は少しずつ危険を察知し始めていたのだ。
「そろそろ帰らない?」
お母さんがようやく切り出した。
でも、わたしたちは帰りたくないとわがままを言うわけで、それでもお母さんは無理矢理わたしたちを家に連れて帰った。
すでにお父さんは家に帰ってきていて、何やら不安そうに家中を駆けずり回っていた。
もちろんその様子を見ても、わたしとお母さんは状況を理解できなくて、そのままリビングに入っていった。
「お前達!急げ!」
呑気にソファに座るわたしたちとは正反対に、お父さんは狂ったかのように声を荒らげた。
「どうしたの?そんなに急いで」
「今すぐ家を出るぞ!この地域は避難指示が出されてるんだぞ!」
いきなり飛び出したその言葉の意味がわからなかった。
避難指示……?さっきまで外で遊んでいたのに。
二歳のわたしにはよくわからなかったけど、とにかく危険な状況だということは理解した。
わたしは戸惑いながらも、すぐそばに置いてあったバッグを手に取って、その中に大切なものを詰め込んだ。
いつも一緒に寝ているぬいぐるみ。
幼稚園でもらったクレヨン。
お父さんとお母さんにもらった
望遠鏡。
お母さんはすぐにわたしを抱き抱えて、今までに見た事のない速さで階段を上った。
実は、この家に住んでいてまだ一度も開けたことのない扉が存在していた。
その扉はなんと家の屋上へと繋がっている扉だったのだ。
お母さんはその扉を勢いよく開け、高い屋上でわたしを座らせた。
さっきとはまるで違う場所のように景色は汚れていた。
穏やかだった風は強くビュンビュンと音をたてて吹きつけ、雨はその風に乗ってドシャドシャと地面を叩いていた。
地面には降ってきた雨が川のように流れていて、もし落ちてしまえば死んでしまう。
その中には森から流れてきた木や、駐車場に置かれていた車、そして家までもが紛れていた。
恐ろしい光景に体を震わせていると、お母さんは優しくわたしを抱きしめてくれた。
「大丈夫。お父さんとお母さんがいるからね。絶対離れないから」
「うん。約束ね?」
約束を交わしたあと、遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
「セイヤー!セイヤー!」
雨と霧のせいでよく見えないけど、声ですぐにわかった。
「ナイトー!」
その声は菊池夜斗のものだった。
どうやら菊池は屋根の上に避難しているらしく、両親も一緒にいるという。
今すぐこんな状況から抜け出したくて、わたしは何度も泣き叫んだ。
そうすれば雨が止んでくれると思ったんだ。
あまりの暑さに、人々は涼しさを求めていたという。
その願いが叶ったのか、その日の夜は大量の雨が多くの町を包み込んだ。
もちろんみんな喜んだが、それから悲劇が始まった。
「今雨降ってるよ!」
わたしは普段は雨が降ると不機嫌になるはずが、この日は大喜びだったそう。
「ほんとだ!星夜ちゃん、遊ぼうよ!」
隣に住む菊池夜斗もわたしと同じく上機嫌だ。
いつも一緒に遊んでいる二人は、その雨に恐怖など一つも感じていなかった。
レインコートを着て長靴を履いて、数分でできた水たまりの中で飛び跳ねる。小さい子がよくする遊びだ。
二人の親もそれを温かく見守り、決して止めるようなことはしなかった。
なぜなら、この時は誰も知らなかったから。
「ねぇねぇ!池の水がパンパンだよ!」
わたしは珍しい光景に思わず声をあげた。
それから、大人達は少しずつ危険を察知し始めていたのだ。
「そろそろ帰らない?」
お母さんがようやく切り出した。
でも、わたしたちは帰りたくないとわがままを言うわけで、それでもお母さんは無理矢理わたしたちを家に連れて帰った。
すでにお父さんは家に帰ってきていて、何やら不安そうに家中を駆けずり回っていた。
もちろんその様子を見ても、わたしとお母さんは状況を理解できなくて、そのままリビングに入っていった。
「お前達!急げ!」
呑気にソファに座るわたしたちとは正反対に、お父さんは狂ったかのように声を荒らげた。
「どうしたの?そんなに急いで」
「今すぐ家を出るぞ!この地域は避難指示が出されてるんだぞ!」
いきなり飛び出したその言葉の意味がわからなかった。
避難指示……?さっきまで外で遊んでいたのに。
二歳のわたしにはよくわからなかったけど、とにかく危険な状況だということは理解した。
わたしは戸惑いながらも、すぐそばに置いてあったバッグを手に取って、その中に大切なものを詰め込んだ。
いつも一緒に寝ているぬいぐるみ。
幼稚園でもらったクレヨン。
お父さんとお母さんにもらった
望遠鏡。
お母さんはすぐにわたしを抱き抱えて、今までに見た事のない速さで階段を上った。
実は、この家に住んでいてまだ一度も開けたことのない扉が存在していた。
その扉はなんと家の屋上へと繋がっている扉だったのだ。
お母さんはその扉を勢いよく開け、高い屋上でわたしを座らせた。
さっきとはまるで違う場所のように景色は汚れていた。
穏やかだった風は強くビュンビュンと音をたてて吹きつけ、雨はその風に乗ってドシャドシャと地面を叩いていた。
地面には降ってきた雨が川のように流れていて、もし落ちてしまえば死んでしまう。
その中には森から流れてきた木や、駐車場に置かれていた車、そして家までもが紛れていた。
恐ろしい光景に体を震わせていると、お母さんは優しくわたしを抱きしめてくれた。
「大丈夫。お父さんとお母さんがいるからね。絶対離れないから」
「うん。約束ね?」
約束を交わしたあと、遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
「セイヤー!セイヤー!」
雨と霧のせいでよく見えないけど、声ですぐにわかった。
「ナイトー!」
その声は菊池夜斗のものだった。
どうやら菊池は屋根の上に避難しているらしく、両親も一緒にいるという。
今すぐこんな状況から抜け出したくて、わたしは何度も泣き叫んだ。
そうすれば雨が止んでくれると思ったんだ。