ボクはキミの流星群
夏の夜は冬に比べて騒がしい。

スズムシがリーンリーンと物寂しく鳴き、たくさんのカエルがうるさく騒ぎ立てる。

確かに騒がしいけど、意外とこの音は嫌いじゃなかった。

人も少ないわけじゃなくて、自転車もよく走っている。ほとんどの人が、習い事や仕事の帰りだろう。

少し暗くなってきた町に、街灯の灯りが光り始めた。

もう夜になってしまうのかな。

色々考えながら歩いていると、あっという間に裏山に着いてしまった。

公園の入口には、展望台に行くための長い階段が作られてある。

しかし、わたしはその階段を使わない。

裏山まで行くには、この階段を使うと遠回りとなってしまう。

だから反対側にある険しい山を登るんだ。

その山を登る人は、ほとんどの人が途中でやめてしまう。だけど、わたしはずっと登り続ける。星空をより近くで見るために。

夜空にはまだ星が姿を現していなくて、本当に何もないように見えた。

わたしはこの空も好きだけど、星のある空の方がもっと好きだった。

わたしは、わたしの名前をつけたのが誰だか知らない。

お父さんかもしれないし、お母さんかもしれないし、もしかしたらおばあちゃんかもしれない。

誰がつけたかはわからないけど、星が好きだったんだということは確実だった。

せいや、セイヤ、星夜。

この名前のせいで、こんなにも星空を好きになってしまったのかな。
< 4 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop