ボクはキミの流星群
「今日は晴れている地域が多いようですね」

リビングに置かれたテレビには、驚いた顔でコメントをするアナウンサーと、それに共感して頷いているアナウンサーの姿が映し出されていた。

わたしも確かに、と頷いた。

昨日は警報が出るくらい雨が降っていたのに、今日は快晴と言えるくらい太陽が元気よく顔を出している。

「星夜、今日は何か自分で予定決めてる?」

テレビに吸い込まれそうになっていたわたしに、お母さんが優しく尋ねてきた。

予定か……

「……前住んでた家に荷物を取りに行こうと思ってるんだけど……」

あの家には大切な望遠鏡だって置いてあるし、ピロだってひとりで淋しく待っているはずだ。

とても気まずいけれど行かなきゃいけない気がするんだ。

お母さんは苦笑いをして、首をこてんと傾けた。

「いいわよ。それは星夜一人で行った方が良さそうね」

そうだよね。
だって全く他人の『おばあちゃん』がいるかもしれないし。

それにピロも家に残っているわけだし、わたし一人じゃないと困ることがいくつもある。

「でもここから一人で行けるのか?」

わたしが支度を始めようとした時、お父さんが慌てて引き止めてきた。

そうか。この家に来たのは昨日のことで、周囲にどんな建物があるのか、ここはどんなところなのかわたしは全く知らない。

だから当然あの家に辿り着くことはできない。

「送って行こうか?」

お父さんは少し顔を赤らめながらそう言った。

「何緊張してるのよ」

お母さんはクスクスと笑ってお父さんの背中を叩いた。

「だって、星夜はもう十六だぞ!?思春期真っ最中の娘に送迎のお誘いをしてるんだよ!?緊張するに決まってるだろ!」

必死に赤面の理由を説明するその姿がなんだか面白くて、わたしもクスクスと笑ってしまった。

わたしは十六歳の思春期真っ最中だけど、普通とは違って両親に対しての嫌悪感は全くない。

だけど、もしわたしたちが離ればなれにならずに過ごしていたら嫌いになっていたのかな。

決して、そんなわけないとは否定できない。

大好きに決まっているけれど、不安定な心が反抗してしまうかもしれない。

しかし、そういう時期を乗り越えてから大人になるのだから、その時期も大切にするべきなのかな。

「じゃあ、お父さんに送ってもらう」

わたしはお父さんのそばに行って微笑んでみせた。

「わかった。連れて行ってあげる!」

お父さんはニコッと笑ってガッツポーズをしてみせた。
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