ボクはキミの流星群
あまりこの家には居たくないので、すぐに荷物をまとめて部屋を出た。
ほとんどが学校の道具を占めていて、買ってもらった服や雑貨は全部置いて帰ることにした。
これからは全くの他人として生きていくわけだし、気持ちを改めようという考え。まぁ元から他人だったのだけれど。
「ピロも一緒に行く?」
問題はピロだった。
もちろんここに置いていくつもりはないし、でも一緒に暮らすことは困難となる。
わたしはピロと一緒にいたい。だけど家に連れていけるかがわからない。
「イク」
ピロはわたしの手を握ってニッコリ笑った。
そんな顔されたら……
「一緒にいようね」
一緒にいられるかわからないけど、できる限りのことはしよう。
握られた手をギュッと握り返して、階段を降りてみると玄関でおばあちゃんが知らない人達に囲まれているのが目に入った。
この服装は、警察官だ。
「あなたが松乃星夜さんですか?」
ガッツリした体型の男性にいきなり声をかけられ、思わず「ひっ!」と変な声を出してしまった。
「は、はい。わたしが松乃星夜です」
「親御さんとは再会できましたか?」
男性の警察官は少し心配そうにわたしに尋ねてきてくれた。
「はい。これからは向こうの家で暮らすことになりました」
「星夜……」
おばあちゃんは、聞こえるか聞こえないくらいの声でわたしの名前を呼んだ。
おばあちゃんと会話を交わすのは、きっとこれが最後なんだ。
だから本当に思っていることを言う。
「わたしの人生を支えてくれてありがとう。だけどあなたはわたしを堂々と騙した犯罪者。そんなあなたとはもう二度と会いたくありません、さようなら」
深々とお辞儀をすると、その場が凍りついたように静かになったのがわかった。
これでもう終わり。もう二度と帰って来ることもないだろうし、会うこともない。
だからこうやってきちんとお別れをするんだ。
「なんで……」
震える声と鼻をすする音で、おばあちゃんが泣いているんだと気がついた。
わたしはゆっくりと頭を上げてその様子をただただ見ていた。
きっと何かを言おうとしているのだけど、出てくるのは涙ばかりで上手く話すことができないんだ。
そして最後には手のひらで顔を覆い、その場にしゃがみこんでしまった。
その「なんで」は、わたしが出ていくことに対してじゃないんだと思う。わたしが「ありがとう」って言ったことなんだと思う。
感謝の気持ちを伝えたのはたったの一瞬だけど、それがおばあちゃんにとって嬉しかったのかな。
わたしはこの場にいても仕方がないと判断を下し、透明になったピロの手を握りしめながら家を出ることにした。
警察官の人に敬礼をされ、わたしも深くお辞儀をしてから家を出ると、外には心配そうにしている佐々木さんが立っているのが見えた。
わたしは何も言葉を発さずにニコッと笑ってみせた。
すると、佐々木さんは安堵の表情を浮かべて家に戻っていった。
わたしが佐々木さんが警察を呼んでくれたんだと気がついたのは、後のことだった。
ほとんどが学校の道具を占めていて、買ってもらった服や雑貨は全部置いて帰ることにした。
これからは全くの他人として生きていくわけだし、気持ちを改めようという考え。まぁ元から他人だったのだけれど。
「ピロも一緒に行く?」
問題はピロだった。
もちろんここに置いていくつもりはないし、でも一緒に暮らすことは困難となる。
わたしはピロと一緒にいたい。だけど家に連れていけるかがわからない。
「イク」
ピロはわたしの手を握ってニッコリ笑った。
そんな顔されたら……
「一緒にいようね」
一緒にいられるかわからないけど、できる限りのことはしよう。
握られた手をギュッと握り返して、階段を降りてみると玄関でおばあちゃんが知らない人達に囲まれているのが目に入った。
この服装は、警察官だ。
「あなたが松乃星夜さんですか?」
ガッツリした体型の男性にいきなり声をかけられ、思わず「ひっ!」と変な声を出してしまった。
「は、はい。わたしが松乃星夜です」
「親御さんとは再会できましたか?」
男性の警察官は少し心配そうにわたしに尋ねてきてくれた。
「はい。これからは向こうの家で暮らすことになりました」
「星夜……」
おばあちゃんは、聞こえるか聞こえないくらいの声でわたしの名前を呼んだ。
おばあちゃんと会話を交わすのは、きっとこれが最後なんだ。
だから本当に思っていることを言う。
「わたしの人生を支えてくれてありがとう。だけどあなたはわたしを堂々と騙した犯罪者。そんなあなたとはもう二度と会いたくありません、さようなら」
深々とお辞儀をすると、その場が凍りついたように静かになったのがわかった。
これでもう終わり。もう二度と帰って来ることもないだろうし、会うこともない。
だからこうやってきちんとお別れをするんだ。
「なんで……」
震える声と鼻をすする音で、おばあちゃんが泣いているんだと気がついた。
わたしはゆっくりと頭を上げてその様子をただただ見ていた。
きっと何かを言おうとしているのだけど、出てくるのは涙ばかりで上手く話すことができないんだ。
そして最後には手のひらで顔を覆い、その場にしゃがみこんでしまった。
その「なんで」は、わたしが出ていくことに対してじゃないんだと思う。わたしが「ありがとう」って言ったことなんだと思う。
感謝の気持ちを伝えたのはたったの一瞬だけど、それがおばあちゃんにとって嬉しかったのかな。
わたしはこの場にいても仕方がないと判断を下し、透明になったピロの手を握りしめながら家を出ることにした。
警察官の人に敬礼をされ、わたしも深くお辞儀をしてから家を出ると、外には心配そうにしている佐々木さんが立っているのが見えた。
わたしは何も言葉を発さずにニコッと笑ってみせた。
すると、佐々木さんは安堵の表情を浮かべて家に戻っていった。
わたしが佐々木さんが警察を呼んでくれたんだと気がついたのは、後のことだった。