ボクはキミの流星群
気まずい雰囲気の中、わたしは残りのホットケーキを頬張っていた。

やっぱりバターとシロップが溶け込みきっていて、あまり味がしなくなっている。気のせいかもしれないけど。

「ピロくんにもあげる?」

お母さんは怯えているせいか小声でわたしに尋ねてきた。

ピロはというと、珍しく初めて見るホットケーキを「コレナニ」と言わずに大人しく座っていて、ただひたすらニンジンをかじっていた。

どうやらピロの中でニンジンに敵うものはないらしい。

「ううん、大丈夫」
「そっか」

リビングにはしばらく沈黙が続き、ピロのニンジンをかじる音とわたしのお皿にフォークが当たる音だけが響き渡る。

お父さんもお母さんも困った様子で、二人顔を見合わせてため息をついた。

こんな様子では、これからどんな生活になっていくのか全く見当がつかない。

そんなわたしの心の中は、嬉しい反面不安でいっぱいだった。もしかしてピロが家族に嫌われてしまうかもしれないし、ピロがこの家を嫌ってしまうかもしれない。

考えれば考えるほど恐ろしいことが次々と思い浮かんでしまう。

「セイヤ」

なぜかピロはわたしの名前を呼んでニッコリ笑った。

そうか。わたしを安心させてくれるのはこの笑顔で、ピロが名前を呼んでくれるからわたしは一緒にいたいと思えるんだ。

「ピロ、大好きだよ」

わたしはそれだけ言ってまたホットケーキを頬張った。
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