PLAYTHING!!
なんで気付かないかなぁ~。



なんでわたしといるときもしないような柔らかい顔してるかなぁ~。



なんで……わたしに見つかっちゃうかなぁ……。



「浮気者!! 鬼畜外道大魔王!!」



気が付けば、理緒くんに向かって思いっ切り叫んでる自分がいた。



隣でビックリした顔してる美那ちんも、



黙ってわたしと理緒くんを見ていた香乃子も、



真正面で呆然としている理緒くんも、



全部無視して、後ろへ走っていく。



背中に向かってわたしを呼ぶ声がしたけど振り返らない。



だって今のわたしは、完全に悲劇のヒロインモードなんだからっ!




悲劇のヒロインは人知れず涙を流すの……。



そう思って、駆け込んだ建物と建物の間。



考え無しに勢いで走ってきたものの……、



香乃子と美那ちん心配してるかもな。



とりあえず携帯に連絡しようと思って、制服のポケットを探る。



そしたら、



「勝手に勘違いして逃げんなっ」


「ヒィッ!」



息を切らした理緒くんが、わたしの目の前に現れた……。



「さっき一緒だったのは……妹だ」



「……妹?」
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