moon~満ちる日舞う少女~【中】












人だかりのまんなかには女の人が1人が座っていて、その隣には先に行った香月が背中をさすっていた。



美「香月っ」



香「姉ちゃんっ!臣!」



美「何があった?」



香「ぶつかってきた男がカバンと息子を連れていったらしい」



それって誘拐?



「グスッ。カバンはいいんです…っ。けど、悠太が…。……私の息子がぁ…」



美「…大丈夫ですよ。警察には連絡しました」



「ありがとうございます………けど、間に合うか…」



美「…とにかく、そこの椅子に座りましょう」



そういって美月と座り込んだ女性がイスに座ると人だかりは消えた。



美「…香月と臣はここにいて」



香「え?!まさかっ」



美「うん。…でも大丈夫!」



それだけ言って美月は走ってどこかへ行ってしまった。



香「…っ」



多分、息子を連れ去った男を捕まえに行ったんだろう。そして、香月はすぐにでもおいかけたいんだろうな。…けど、放ってもおけない。



臣「ーっ」



香「臣?!」



俺は走り出していた。








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