moon~満ちる日舞う少女~【中】
















臣「ハァハァ…」


んで、いないんだよ…っ。



臣「ハァ…ハァ…っ」



「ほらっ!早くこっち来い!!」



ー?!



「やだぁ!!ママはぁー!!」



「ママは後から来るよっ、だから早く車に乗れって!」



「ふぇぇぇん…泣」



「ッチ!早く乗れよガキがぁ!」



やばい。早く警察を…っ。



「早く乗れっ!」



ーガツッー



俺は助けを呼ばずに男に突っ込んだ。



「ぐぁっ!」



男は尻餅をついた後すぐに立ち上がって俺を睨みつけた。



「てんめぇ。…その子供をこっちへ渡せ」




臣「嫌だね」



俺は子供を背中に隠す。



「じゃあまずお前からぶっ潰してやらァ!!」



あーあ。…なんで飛び出したんだろ。いつもなら後先考えず行動なんてしないのに。…


あいつら姉弟のせいだろ。



臣「ーっ」



俺は蹴られるとわかって子供を抱きしめ、背を向けた。













< 172 / 292 >

この作品をシェア

pagetop