moon~満ちる日舞う少女~【中】
臣「ハァハァ…」
んで、いないんだよ…っ。
臣「ハァ…ハァ…っ」
「ほらっ!早くこっち来い!!」
ー?!
「やだぁ!!ママはぁー!!」
「ママは後から来るよっ、だから早く車に乗れって!」
「ふぇぇぇん…泣」
「ッチ!早く乗れよガキがぁ!」
やばい。早く警察を…っ。
「早く乗れっ!」
ーガツッー
俺は助けを呼ばずに男に突っ込んだ。
「ぐぁっ!」
男は尻餅をついた後すぐに立ち上がって俺を睨みつけた。
「てんめぇ。…その子供をこっちへ渡せ」
臣「嫌だね」
俺は子供を背中に隠す。
「じゃあまずお前からぶっ潰してやらァ!!」
あーあ。…なんで飛び出したんだろ。いつもなら後先考えず行動なんてしないのに。…
あいつら姉弟のせいだろ。
臣「ーっ」
俺は蹴られるとわかって子供を抱きしめ、背を向けた。