moon~満ちる日舞う少女~【中】
は?!舞月ってあの?!!…不良の世界では知らない奴はいない、だれもかなわないと言われた天才総長。…夜舞の舞月…。
臣「…お前っ…舞月?!」
美「あはは。そうだよ」
「な…っ。…くっ!撤退だぁ!!」
相手の男達は怯えながら逃げていく。…けど、美月はある男だけは逃がす前に腹に蹴りを入れた。
「グハッ!!」
美「今のは息子を攫われた母の気持ちよ。……さっ、カバンを返して」
「ーっ」
…美月はかばんを受け取ったあと、男を追うことをしなかった。
美「…大丈夫?臣」
臣「あ、あぁ。」
舞月は腐った不良の世界では、誰もが憧れる存在で、すごい人。それが美月だった。
臣「お前、舞月だったんだな」
美「隠しててごめんね」
臣「いや、みんなが舞月に憧れるのわかる気がする」
美「私は憧れてもらえる存在じゃないのにな」
臣「…なんでそんなこと言うのか知らないけど、舞月であることに誇りをもってんだろ?」
美「え?!…なんでそれを…」
…なんでか。…少しだけ昔の記憶が出てきたんだよ。…美月と香月とあそんだ記憶が。
だから、なんとなくわかるんだよ。…今と昔の立場違くたって、変わらないものはある。
臣「俺さ、お前らの従兄弟で良かった」
美「…うん。私も」
俺達は子供を親に届け、そのまま家に帰ることにした。