moon~満ちる日舞う少女~【中】







ここが1年3組か…


私は教室を盗み見る。…一つの机には落書きと引き出しにゴミがたくさん詰め込まれている。


誰の机かって?それは…


美「ねぇ」


?「は、はい!」


私はその辺を歩いている女の子に声をかけた。私が2年と分かっているのだろう、敬語で話す。



美「君、3組?」


?「は、はい…」


美「あそこの席って誰?」


?「え?…えっと……佐倉君です…」


女の子はものすごく言いづらそうに言った。


美「佐倉?」


?「佐倉慶君です」



そう。月龍の下っ端の慶。…いじめが原因で学校に行ってない。



美「そっかぁ。…あ!あなたの名前は…」


千「時見千代です」


美「千代ちゃんね!…私は」


千「し、失礼ですけど!大鳥美月先輩…ですよね?」



え、なんで私の名前?!と一瞬思ったけどすぐ納得した。


美「そうだよ」


私が月龍の姫だってことはこの学校の誰もが知っているんだろう。



千「…あ、それで、美月先輩がなぜこちらに?」


美「実はさ、慶のことについて知りたくて」


千「佐倉君のことをご存知なんですか?!」


な、なんか千代ちゃんっていい所のお嬢様って感じの話し方だなぁ。…実際そうだったりして。



美「ちょっとね」


千「でしたら、佐倉君の今の状況をご存知ですか?」


美「…まぁ…」


千「先輩は佐倉君の味方…って考えてもよろしいんですよね?」


美「うん」


千「そうなんですね…。」


美「慶のこと、もっとよく教えてくれない?」


いじめを受けている男の子について、同じクラスの女の子が話すのはきついかもしれないけど。



千「…もちろんです!!」



あっさりだった…。



千「ですが、これから次の授業が始まってしまいますので…お昼休みでもよろしいですか?」


美「うん、じゃあ私がまた来るね」


千「はい!」


美「あっ!あと、私が千代ちゃんに慶について聞いたことは…」


千「もちろん言いません」


…それだけいって千代ちゃんは教室に入っていった。

いい子だったなぁ。…
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