moon~満ちる日舞う少女~【中】












美「んんー!…ふぅ〜。それじゃあ帰りますか!」



修「そうだな」






美「あ、修也の家ってどこら辺?」



修「△丁らへん。」



美「じゃあここでわかれた方が早そうだね!じゃ…」



また明日と言おうとしたのに何故か修也は私の先を行く。



修「なにしてんだよ。…送ってく」



修也は振り向いて少し照れくさそうにそう言った。



美「え?!いいよいいよっ修也の家、こっちから行ったら遠回りだし!!」



修「こんな時間に女が1人で歩いてたらあぶないだろ。…それにお前は俺らの姫なんだから」



美「……じゃあ途中まで」



私がこれは譲れないと主張したので、修也はわかったと承諾し歩き出した。



修「明日金曜日だな。…明後日はまた休みか」



美「そうだね」



それが最後。



修「そしたらすぐ球技大会かぁ」



美「うん」



…その頃には修也達は私を嫌いになってるはず。



修「その後は夏休み…の前に修学旅行があるんだよな。…海だぜ」



美「楽しみだね」



…家の近くのコンビニに着いたので私はここでいいよと、お礼を行った。



修「じゃあまた明日な」



美「また明日」



修「…」



美「…?」



修「き、今日は、楽しかった。…俺は普段女とは遊ばないからわかんねぇけど、美月じゃなかったらこんなに楽しくなかったと思う。…だから、ありがとな…」



修也はそれだけ言うと返事も聞かずに急ぎ足で帰っていった。



私はそんな修也の背中を見ながら、何を思っただろう。……裏切ることへの罪悪感?…姫となってい続けた自分への罪の意識?…後悔するなら初めからしなきゃいい。やるからには後悔はしない。


けど、微かに胸につっかえる、この痛みはなんだろう?…もうほとんど見えなくなった修也の背中を見て…また、チクリと痛んだ。



















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