moon~満ちる日舞う少女~【中】
1階にはもう誰も…たっているやつがいない。だから静まり帰っている。
「ギャァァァァーーー」
上の階からそんな悲鳴が聞こえた。
美「……っ」
あの、後ろ姿は………
美「そ……う…?」
ーゴクリー
喉がなる。
美「…っ」
そいつが振り返った。…服に飛び散った血、赤色に染まってる指。…そんな手で拭っただろう顔。……それは総だった。
美「な、んで…」
総「おれさ、教師なるのやめるわ」
美「何言ってんだよ…」
総は私に向かって転がっていた血だらけの男をほうり投げた。
美「朱…雀…っ」
ーバタバター
世「はぁ、はぁ…」
奈「…美月、いきなり飛び出していくな…っ」
2人もこの光景に青ざめてはいるが、いつも通り私に声をかけた。
世「…ほんとに…総が…っ」
総「ふはっ、俺しかいねぇだろっ」
私は朱雀を端っこに寝かしたあと、奈津に救急車を呼ぶように頼んだら、もう呼んだらしい。
世「…どうするんだ、美月」
美「……総、お前は私と戦うつもりか?」
総「…美月?」
美「あ?」
総「あー、そうかそうか。…えっと、戦うか、だっけ?……こいよ」
少し意味のわからないが、戦うつもりということはわかった。
美「いいのか?…お前は1度も私に勝ててないんだぞ」
総「そりゃそうだ」
美「…どういう意味だ」
総「いや、こっちの話」
…私は総を睨みつけたあと、1度深呼吸して、総の元まで走り出した。