moon~満ちる日舞う少女~【中】
淡いもの
ーチリリリリリリー
ーポチッー
美「んーっ」
私はカーテンの隙間から差し込む光に目を細めながら、背伸びをする。
美「ふぅ…」
ーコンコンー
香「姉ちゃんー?入っていい?」
美「ごめんーまだ寝間着だから私が後で香月の部屋に行くよー」
香「わかった」
私は決して、弟に寝間着を見られるのがいやなタイプではない。…理由は別にあった。部屋に入れられない、別の理由が。
ーガチャー
ーコンコンー
香「どーぞー」
ーガチャー
美「…いつみても香月の部屋は適度に散らかってるな…」
香「なんだよ適度にって」
美「いやー。…で、なに?」
香「え?…あー…えっと〜。なんだったっけ?」
…はぁ。…どんだけ鳥頭なんだよ。
美「まぁいいよ。…ところで香月今日暇?」
香「う、うん。暇だけど」
美「じゃあさ、温泉行かない?1泊2日!!お母さんとあと1人誘ってさ!実は、前商店街の福引で当てて、もうそろそろ有効期限きれるから」
香「温泉?!!」
美「温泉!!!」