moon~満ちる日舞う少女~【中】
美「この家に来れてよかったな」
お父さんが旅にでて行ったことにではなく、ただ純粋に…香月とお母さんがいるこの家にこれて良かったって思う。
香「何言ってんだ?」
ポカンっとしている香月を見て思った。…お父さんが旅から帰れば私はそっちへ帰るのに、香月はその事にちゃんと気づいていない。
だから心配になった。その反面、これからの私の行動は香月にとってその予行となるのかもしれない。
昔、中学の時に親の離婚で別れた私たち双子。…香月はすごく泣いていた記憶がある。…私だって悲しかった。…でも、その時は悲しい以外の気持ちがあった気がする。…今ではもう、思い出したくもないが。
香「姉ちゃん?」
美「…香月、笑ってて」
香「あ?変顔しろってこと?」
バカで良かった。
美「なんでもない。……ふわぁ〜、日も落ちてきたし、早く家入ろー」
香「姉ちゃんが止まったんじゃん!」
美「あはは〜」