moon~満ちる日舞う少女~【中】
守られるのは嫌い。だって誰かが傷つくのを見ていないと行けないから。
誰かを守れないこの苦しさに耐えられないから。
死の狭間に堕ちて、闇に溺れていたい。
…いや、もう溺れている。
美しく舞う女。…舞月…。その名に誇りはある。……けど、その名が、綺麗がどうかと聞かれれば、私はすぐにNOと返すだろう。
舞月は憧れるに値しない。
舞月は、全てのトップにいる、キング。…いや、女だからクイーンと言うべきだろうか…。
まぁどちらでもいい。
私は舞月として、トップにいる必要がある。
だから月龍とは離れると決めた。
ううん。…それは、1つの理由にすぎない。
舞月は…
✖✖✖なのだから。
だから、舞月は……私は、この世界のトップに君臨していないといけない。
闇に呑まれ、溺れて、壊れて、苦しんで、傷ついて……そして…私は、汚れた舞月でいる。
それが私の生きる意味。存在理由なのだから
こんなこと聞いたらどうするかな…。譲は怒るかな?真輝は悲しむかな?真田は失望するかな?世羅は傷つくかな?南は呆れるかな?
奈津は、抱きしめてくれるかな?違う。抱きしめてくれたんだった。
幼なじみ言っていいね。奈津はいつでも味方になってくれる。…俺は俺の意思で動いてる。奈津はそう言ってくれる。
なら、香月は?…泣くかな?それとも私に殴りかかってくるかも。…ううん。……
香月は私についてくる。どんな闇にいても私の背中を追いかけてくる。
『お姉ちゃん』
幼い頃の香月の声がきこえる。
『俺ね、お姉ちゃん見たいにね、なりたい!』
ダメだよ。香月は…私の大切な弟だけは私のあとは追わせない。だからこそ、私は香月の姉でいることを捨てる。…夜舞総長の舞月でいる。
美「短かったなぁ」
修「ん?何が?」
美「ううん。…そんなのことよりさー」