moon~満ちる日舞う少女~【中】
美「…はい?」
瀬「なーんかね、美月ちゃんって〜自分作ってる感じしたから」
…気づかれている?!…私が?……完璧なはずなのに…どうして?
美「そうかな?」
内心動揺しているのを悟られないように笑った。
瀬「うん。…あっ!2組のアンカー亮君だね」
美「え?!」
う、うそー。まじかよ……。
『位置について。よーい……』
ーパンッッッ!!!ー
美「おお!香月速い」
亮「確かに」
なんだか懐かしい。香月と一緒に体育祭…したのは中1のときだったから…いつも私は香月の応援してて、香月はよく転んで…私が怒鳴り散らしたら、痛みなんか引っ込むっていってたなぁ。
亮「…やっぱり勝も速いですね」
美「うん。さすが月龍」
亮「僕も負けませんよ?」
美「私もね」
次、修也にバトンが並んだ。1組が1位をリードしているけど2組もついてきてる。…
瀬「美月ちゃんって何色が好きなの?」
美「え?…んーっと、青…かな?」
瀬「どうして?」
美「だって、青はなににでも似合うじゃない?…綺麗だし」
瀬「ははっ。」
美「なに?」
瀬「いーや。ただ俺は…」
そこまでいって瀬尾はバトンを受け取りに行き、走り出した。
美「瀬尾…?」
亮「美月さん、俺の前のやつ陸上で県の記録持ってて、だからあの人を抜きますよ」
亮の言う通り、瀬尾は抜かれた。
亮「手加減なしですよ?」
負けられないけど、本気は出せない。
美「うん」
すぐそこまで迫った瀬尾。
亮にバトンが渡る。
あと少しでバトンが私に渡る。
そして瀬尾はその時言った。