もう泣いてもいいよね
本当にないようだ。

香澄もそれがわかったらしい。

「そっか~」

いつもののんびりした口調には、ちょっとがっかりした感じが混じっていた。


「じゃあ、逆に、香澄は何かして欲しいことはないのか?おれ、なんでもするよ」

タケルが目をきらきらさせて言った。

「あ、えっと、急に言われても…」

「ないのか?」

香澄はちょっと間を置いた後、無表情で言った。

「ないよ」


「そっか」

「強いて言えば、タケルと一緒に過ごせればいいかな」

香澄は少し微笑んで言った。

「そっか。そうだな」

タケルはにこっと笑った。



「明日は、お子守様に行ってみない?」

私はふと、思いついて言った。

「いいけど、皆美んちの前通るよ?」

香澄が言った。

「あ、うん。多分、奥にいるから大丈夫だよ」

私はかすかに微笑んで言った。

「そうだな。久しぶりにまた3人でお参りするか!」

「そうだね」

香澄も笑ってくれた。
 
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