もう泣いてもいいよね
「じゃあ、後で皆美んちに行くよ」

2セット目の演奏を終えて戻ってきた香澄が言った。

「私の家、わかる?」

「うん。さっきタケルに聞いた。携帯のナビもあるしわかるよ」

「そっか。じゃあ、待ってるね」

タケルと私は駅への階段を登りながら香澄に手を振った。



「友達帰ったの?」

省吾は戻ってきた香澄に聞いた。

「うん」

「ずいぶん長く話してたみたいだね」

「うん。久しぶりだったから…」

「久しぶり?この間の友達とは違うの?」

「この間の友達ともう一人」

「二人…?」

「うん」

「そっか。…3セット目は大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ」

「そっか」

香澄に慣れている省吾は優しかった。
 
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