もう泣いてもいいよね
第3章 模索
「皆美、起きろよ」

タケルに揺らされて目が覚めた。

窓からは明るい陽射しが差し込んでいる。

今日も天気がいいらしい。

横を見ると香澄は既に起きているみたいだ。

「おはよ。香澄は?」

私は、ぼーっとした頭でベッドから降りると、昨日と同じとこに座っているタケルに聞いた。

「ああ、ちょっと散歩だって」

「そっか」

私はテーブルの昨日の場所に座って、テーブルに突っ伏した。

「何?朝弱いのは相変わらずか?」

「うん…」

「困ったやつだな」

「生まれつきぃ~」

私は突っ伏したまま、いー!という顔をした。



「ただいま~」

香澄が帰ってきた。

「おもしろいとこあった~?」

私はまだはっきりしない頭で聞いた。

「えっとね、川沿いを歩いてきた。気持ちよかったよ」

「そっかぁ~」

「間延びしてるね~」

「香澄も~」

「ほんとだ~」

「何なんだ?おまえら…」

タケルが一人ではっきりしていた。

「頭が春ぅ~」

私が言うと、香澄も「同じくぅ~」と、言ってテーブルに突っ伏した。

「はいはい」

タケルも昔の私たちを思い出したのか、あきらめ気味に言った。



そんな感じで、てれてれとお昼まで過ごした。

「そろそろ出掛けようよ」

さすがにタケルが、付き合いきれなくなったみたいで言った。


「そだね…」

私と香澄は渋々動き始めた。


「じゃあ、私は森川村に帰るわ」

「ごめんね、香澄」

「皆美、謝ってばかりだね。気にしないでって」

そう言って、香澄は手をひらひらさせながら出掛けていった。
 
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