もう泣いてもいいよね
第6章 記憶の謎
翌日、ツリーハウスからタケルの実家まで戻ったところで、私は物語の構想を練ることにした。
香澄は森川家へ出掛けていった。
タケルは手持ち無沙汰の様子だったが、私のそばにいてくれた。
私は座卓の上に原稿用紙を広げて構想を練っていた。
ふと見るとタケルが縁側でぼーっと山を眺めている。
「タケル」
「ん?」
タケルはゆっくりと顔だけをこっちへ向けた。
「あの日のこと、聞いていい?」
タケルは一瞬眉を動かしたが、無言で私のそばに来た。
「なに?」
「あのね、タケルは大したケガじゃないって言ってたけど、ほんとは死ぬほどのケガだったんだよね?」
「ああ…。そうらしい。おれよくわかんないんだ」
タケルはこの話題にあまり乗り気じゃなかった。
「なんで?」
「えっと、気が付いたら大したケガじゃなかったというか…香澄が死ぬはずだったって言ったけど、よくわかんないよ」
「でも、確かにタケルが光ったよ」
「ああ、おれもびっくりした。だから、香澄の言ったことは本当のことなんだろうな」
「そうなんだ…」
タケルは、言っているとおりに本当によくわかってないのか、言うつもりはないのかどちらかの様だった。
仕方ない…
「でも、今ここにいてくれて、本当に良かった」
私はそっとタケルの手に自分の手を重ねながら言った。
「そ、そだな」
タケルは、案の定、顔を少し赤らめてすぐに手を引っ込めた。
「ほら、話を考えろよ」
タケルはそう言うと、また縁側の方へ逃げていった。
私はその背中にごめんねとつぶやいた。
香澄は森川家へ出掛けていった。
タケルは手持ち無沙汰の様子だったが、私のそばにいてくれた。
私は座卓の上に原稿用紙を広げて構想を練っていた。
ふと見るとタケルが縁側でぼーっと山を眺めている。
「タケル」
「ん?」
タケルはゆっくりと顔だけをこっちへ向けた。
「あの日のこと、聞いていい?」
タケルは一瞬眉を動かしたが、無言で私のそばに来た。
「なに?」
「あのね、タケルは大したケガじゃないって言ってたけど、ほんとは死ぬほどのケガだったんだよね?」
「ああ…。そうらしい。おれよくわかんないんだ」
タケルはこの話題にあまり乗り気じゃなかった。
「なんで?」
「えっと、気が付いたら大したケガじゃなかったというか…香澄が死ぬはずだったって言ったけど、よくわかんないよ」
「でも、確かにタケルが光ったよ」
「ああ、おれもびっくりした。だから、香澄の言ったことは本当のことなんだろうな」
「そうなんだ…」
タケルは、言っているとおりに本当によくわかってないのか、言うつもりはないのかどちらかの様だった。
仕方ない…
「でも、今ここにいてくれて、本当に良かった」
私はそっとタケルの手に自分の手を重ねながら言った。
「そ、そだな」
タケルは、案の定、顔を少し赤らめてすぐに手を引っ込めた。
「ほら、話を考えろよ」
タケルはそう言うと、また縁側の方へ逃げていった。
私はその背中にごめんねとつぶやいた。