もう泣いてもいいよね
香澄は綾女のところに報告に訪れていた。


綾女は、香澄の話を聞いて、少し顔を曇らせた。

「私の説明不足だったか…」


香澄は綾女の言葉を待った。


「子守花は全てに霊力がある。祠の前に咲く子守花も」

「え?」

「ただ、違うのは、祠の子守花だけが13年咲き続けるということだ。おまえはそのことで霊力がある無しを勘違いしたんだね」


「そうだったんだ…」

香澄はしてしまった失敗を後悔していた。



「死ぬはずだった、か…」


そういうと、綾女は口元に笑みを浮かべた。


「でも、その後の言い訳は良かったと思うよ」


「そうかな?」

「その時には最善だっただろう」

「そっかな…」

「最後には全てわかることだ。そんなに気にすることでもないのかもしれない」

「でも、なるべくそれを延ばしたいよ」


「そうだね」

綾女は心優しい孫娘をにこやかに見つめた。

香澄は香澄で、祖母の助言に救われた気がしていた。


綾女は思った。

どちらにしても、秋の裏祭までだと。
 
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